リノサポブログ

家づくりのこと

2020.06.25
こんにちは。
”物件探しとリノベーションのコンサルタント”の山田笑子(やまだえみこ)です。

ここ数年で猫の飼育数は増え続け、犬を上回り、ますます人気が高くなっています。室内で一生を過ごす猫のことを考えれば、ストレスなく快適に過ごせる環境を用意してあげたいもの。そのために役立つTIPSをご紹介します。


【TIPS1】 キャットウォーク

[ 猫が使わない場合でも、飾り棚として使える造作を ]

キャットウォークは、猫がジャンプして飛び乗ったり、走ったりすることも多く、ある程度の衝撃や重さに耐えられる強度が必要です。安全性の高い固定の方法や壁の下地などを確認してから、取り付けることが大切。できるだけ長手の壁や複数面の壁にL字やコの字で設置し、行き止まりのない回遊型にするのが理想的です。

キャットウォークは、高い位置につくりたいものですが、猫がアクセスしやすいステップを同時に計画する必要があります。階段状に複数の段差をつくってもいいし、床からジャンプできる高さに足場をつくるのもいいでしょう。アクロバティックすぎると、猫が年老いた時に使えなくなることもあるので、ほどほどがおすすめです。幅は25cm前後が基準となりますが、2匹以上の猫がいる場合は、すれ違えるように、3cmほど広めにつくると余裕が生まれ、喧嘩にならずに使えます。

肝に銘じておきたいのは、キャットウォークやキャットステップをつくったからといって、必ず猫が使ってくれるとは限らないということ。猫によっては全く使わない可能性も考えられます。その場合でも、人間が収納や飾り棚のように使えるように想定しておくと無駄になりません。


出窓の本棚とステップを連続させた回遊型のキャットウォーク。この本棚くらいの高さなら床にジャンプできる。
お宅拝見『50㎡台のワンルームと都会のミニマムな暮らし』)より



キャットウォークと本棚を一体化したY邸の造作家具。本棚の側板に穴を空けて、猫が本の合間をすり抜けるようにした。
お宅拝見『猫と本とビール』)より



【TIPS2】 猫の抜け穴

[ 扉はないほうが、猫が使ってくれる確率が高い ]

扉を閉めたままでも猫が自由に出入りできるように、猫専用の小さなドアや抜け穴をつくる方法があります。「ペットドア」などの名称で、既製品も販売していて、自分で取り付けることもできますが、リノベーション時に扉と同時に計画すれば、サイズやディテールなども好み通りに施工することができます。猫が頭で押して開閉できるドアがついているものが多く見られますが、中にはドアを怖がって使ってくれない猫もいます。使ってくれる確率を上げるには、扉を付けずに抜け穴のみにするというのもおすすめです。

抜け穴をつくる場所は、猫のトイレを置く洗面室やトイレの扉、LDKから水まわりへと続く扉などが考えられますが、抜け穴であれば、必ずしも扉ではなく壁に空けられるケースもあり、壁のほうが施工しやすいこともあります。ただし、構造壁や壁の中に間柱がある場所には穴を開けられないので、設計者などに相談して位置を決める必要があります。

穴のサイズは猫の体の大きさに合わせて空けることができます。メインクーンなど大型の猫の場合は、施工前にダンボールなどに計画しているサイズの穴を空けて、実際に猫が通れるかどうか検証してみるといいかもしれません。



体が大きいメインクーンに合わせて、大きめサイズで抜け穴をつくったI邸。LDKから猫トイレがある洗面室へと出入りできる。
お宅拝見『料理家夫妻とこだわりキッチン』)より

 

廊下から猫トイレのある洗面室へと出入りできる千歳烏山O邸の抜け穴。洗面室の壁のピンクのアクセントクロスがちらっと見えるのが、インテリアとしてもかわいい。
リビングダイニングから廊下へと抜ける穴を設けた大倉山O邸。階段状のステップからアクセスし、正面の壁の上をキャットウォークとして猫が歩ける。
大倉山O邸 猫と住まう、ゆとりの家)より



【TIPS3】 猫トイレ

[ 水まわりがベストだけど、工夫次第で他の方法も ]

猫のトイレをどこに置くかは、猫との暮らしにおける最大の課題です。
リノベーションをするなら、設計段階からトイレの位置も含めて考えておきたいところ。可能であれば、人間のトイレを広めにして、猫のトイレを置けるスペースを設けるか、隣に猫用のトイレのための小部屋をつくると、臭い対策にもなり、お手入れもしやすくなります。トイレ内が難しい場合は、洗面台の下や洗面室の一角などもおすすめです。トイレや洗面室などの水まわりに猫のトイレを置く場合は、通じる扉や壁に猫用の抜け穴を空けておくと、猫も人間も快適に過ごせます。

トイレや洗面室に置くことが難しい場合は、リビングや居室の一角、廊下などに置くことが考えられます。トイレは猫が入れるスペースがあれば十分で、高さはそれほど必要ありません。ちょっとしたデッドスペースや収納の下など、工夫次第で適した場所はつくり出せるはずです。排気の条件などが整えば、専用の換気扇や扉をつけると臭いが軽減されます。トイレを置く場所を中心に、上部に猫の寝床などをつくり、居室や玄関土間の一角を猫専用スペースとして整えることも考えられるかもしれません。動線にも注意し、猫がアクセスしやすく、落ち着いて用を足せる環境を目指しましょう。
 

洗面台の下に猫のトイレを置く場所を設けたT邸。換気扇も設置。猫は側面の抜け穴から出入りできる。
お宅拝見『猫との暮らしとストレスフリーの回遊動線』)より



N 邸の猫トイレは、人間のトイレ内に設置。LDKと廊下を仕切る扉(正面)とトイレの扉(左)に、キャットドアを設けている。
お宅拝見『50㎡台のワンルームと都会のミニマムな暮らし』)より



【TIPS4】 間取りの考え方

[ 猫と人間のスペース。棲み分けするか、しないか問題 ]

家中どこでも猫が自由に移動できるようにするか、猫と人間のスペースを棲み分けるかにより、間取りのつくり方は変わってきます。出入り自由にするなら、間取りは自由に考えられ、家をまるごとワンルームにすることなども可能です。とはいえ、玄関や窓からの脱走、火や水などがある場所での事故を防ぐ工夫は必要。屋外へとつながるところや危険な場所には立ち入らないように、ゲートの設置などを検討しましょう。

一方、侵入禁止エリアを分けるなら、個室で切り分け、扉を付けて仕切っていくことが求められます。扉を引き戸にすれば、開閉によって侵入可否エリアをその都度コントールすることも可能。ただし、引き戸やハンドルのあるドアだと、猫によっては開けてしまうこともあるので、鍵を付けたりハンドルの向きを調整したりしておいたほうが安心です。
猫の性格にもよりますが、クローゼット、キッチンなどは荒らされることが多いため、しっかり扉を付けておいたほうが、リスクが少ないかもしれません。また、大切な書類などがある書斎も侵入禁止エリアの候補になります。

いつも猫と一緒にいることを優先するか、棲み分ける間取りにするかは、考え方次第で正解はありません。猫の性格や普段の過ごし方から、お互いにストレスなく暮らせるスタイルを見つけてください。


広いLDKと回遊動線を猫が自由に行き来できるT邸
お宅拝見『猫との暮らしとストレスフリーの回遊動線』)より




寝室と玄関側の通路は、侵入禁止エリアにしているT邸。書斎を猫のための空間として兼用し、在宅中はLDKも含めて猫が自由に行き来できるエリアとしている。


 
ご家族の一員の猫それぞれの性格やくせに合わせて、ぜひ住まいづくりの参考にしてみてください。
 
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